技術・人文知識・国際業務ビザは、ホワイトカラーや技術系の職種で幅広く活用されている在留資格です。大卒をはじめとした外国人材から根強い人気を博している一方で、新規申請される方のなかには、どの職種が技人国に該当するかわからない方も少なくありません。
そこで、本記事では、技人国でできる職種について解説します。許可を受けやすい例や受けにくい例についても解説するため、ぜひ参考にしてください。
技人国ビザとは?
「技術・人文知識・国際業務」(略称:技人国)は、自然科学や人文科学などの専門知識や、外国の文化についての知識が必要な業務を行うための在留資格です。外国人労働者が保有している専門的な知識や技術を日本に還元することを目的としています。
出入国在留管理庁は、技人国について、次のように定義しています。
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動
出典:出入国在留管理庁「在留資格「技術・人文知識・国際業務」」
技人国の特徴とは?
技人国は、専門的な知識を持ったホワイトカラー向けの在留資格です。次のような特徴があります。
| 英語名 | Engineer, Humanities Specialist, International Services |
| 在留者数 | 約45.8万人(2025年6月時点) |
| 在留期間 | 3カ月、1年、3年、5年 |
| 更新期限 | 条件を満たす限り回数制限なく更新可能 |
| 転職 | 同一在留資格の範囲内であれば可能 |
| 家族帯同 | 可能 |
| 取得条件 | 大卒以上などの学歴や、一定期間の実務経験など |
受け入れ企業の要件は?
技人国ビザを持つ外国人を受け入れる企業は、次のような要件を満たす必要があります。
- 事業の安定性・継続性:決算が債務超過でないこと。事業実績があること。
- 業務内容の適正性:外国人が従事する業務に専門性があること。
- 同額報酬:日本人と同等か、それ以上の報酬を得られること。
- 労働法令遵守:労働基準法をはじめ、各種労働法令を遵守していること。
これらの要件は、登記事項証明書や決算書、納税証明書、雇用契約書などをもとに審査されます、複数拠点を持つ企業の場合は本社だけでなく、配属拠点の就業実態と申請内容に齟齬がないよう留意することが大切です。
技人国でできる職種一覧
技人国でできる職種は、希望とする仕事が「技術」「人文知識」「国際業務」、どれに分類されるかによって異なります。
それぞれ解説するため、参考にしてください。
技術
技術は、ITやシステム、設計など、理系の専門知識を使う技術職が該当します。具体的にできる職種は次のとおりです。
- ソフトウェアエンジニア
- システムエンジニア
- コンピュータプログラマー
- ゲームプログラマー
- 技術開発を主導するプロジェクトマネージャー
- 設計技術者
- 開発技術者
- バイオテクノロジーの技術開発
- 建設技術の研究者
- 土木・建築における研究開発・解析・構造設計業務などを担う開発者
- 電気・電子技術者
- 品質管理技術者
人文知識
人文知識は、文系の学歴・専門性を活かす業務です。具体的にできる職種は次のとおりです。
- 会計業務
- 経済アナリスト
- 財務アナリスト
- 労務管理
- 法務
- 貿易業務
- 人事
- 経営コンサルト
- 広報・マーケティング
なお、出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令で記載されている技術と人文知識の定義と要件は、次のとおりです。
一 申請人が自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とする業務に従事しようとする場合は、従事しようとする業務について、次のいずれかに該当し、これに必要な技術又は知識を修得していること。ただし、申請人が情報処理に関する技術又は知識を要する業務に従事しようとする場合で、法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する試験に合格し又は法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する資格を有しているときは、この限りでない。
イ 当該技術若しくは知識に関連する科目を専攻して大学を卒業し、又はこれと同等以上の教育を受けたこと。
ロ 当該技術又は知識に関連する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了(当該修了に関し法務大臣が告示をもって定める要件に該当する場合に限る。)したこと。
ハ 十年以上の実務経験(大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後期課程又は専修学校の専門課程において当該技術又は知識に関連する科目を専攻した期間を含む。)を有すること。出典:e-GOV法令検索「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」
国際業務
国際業務は、外国の文化に基盤を要する思考または感受性を要する仕事です。具体的には、次のような職種が該当します。
- 海外営業
- 貿易事務業
- 翻訳通訳業
- 語学学校の教師
- 語学の指導
- コピーライティング
- 宣伝または海外取引業務、
- 服飾または室内装飾に係るデザイン
- 商品開発
- SNSマーケター
なお、出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令で記載されている国際業務の定義と要件は、次のとおりです。
二 申請人が外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事しようとする場合は、次のいずれにも該当していること。
イ 翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務に従事すること。
ロ 従事しようとする業務に関連する業務について三年以上の実務経験を有すること。ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は、この限りでない。出典:e-GOV法令検索「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」
専攻と業務の関連性
技人国ビザでは、専攻と業務の関連性が重視されます。これを踏まえ、高等教育機関での専攻と従事する業務との関連性について解説します。
許可を受けやすい例
| 大学での専攻 | 従事する業務 | 判定 |
| 情報工学 | ソフトウェアエンジニア | 許可されやすい |
| 土木工学 | 土木技術者 | 許可されやすい |
| 法学 | 法務担当者 | 許可されやすい |
| 経済理論 | 経済アナリスト | 許可されやすい |
| 教育学 | 語学学校の教師 | 許可されやすい |
許可を受けにくい例
| 大学での専攻 | 従事する業務 | 判定 |
| 経営学 | システムエンジニア | 許可されにくい |
| 文学 | 装飾デザイナー | 許可されにくい |
| 観光学 | 飲食店の調理人 | 許可されにくい |
| 政治学 | 経営コンサルタント | 許可されにくい |
松江市で技人国の申請を検討されている方は小村渉行政書士事務所にご相談ください
技人国は、就労系在留資格のなかでも、特に学歴と職種の関連性が求められる在留資格です。
そのため、その関連性を把握しないと、申請後に補正が発生したり、申請が不許可になったりするケースが起きてしまう可能性があります。このような事態を招かないために、技人国の取得に際して不安がある方は、在留資格に詳しい弁護士や行政書士に相談することをおすすめします。
