建設業許可を得るための5つの要件とは?それぞれの要件を詳しく解説!

建設業を取得するには、建設業法第7条に規定される4つの許可要件を満たしたうえで、同法第8条に規定される欠格要件に該当しないことが必要です。

しかし、始めて建設業許可を申請する場合は、これらの要件についてご存知ない方も少なくありません。

そこで、本記事では、欠格要件を含めた、建設業許可の取得に必要な5つの要件について解説します。具体例も交えながら解説するため、参考にしてください。

そもそも建設業許可とは?

建設業許可とは、建設業法に基づき、原則500万円以上の工事を請け負うために必要な許可のことです。建設業法第3条では、次のように定義されています。

(建設業の許可)
第三条 建設業を営もうとする者は、次に掲げる区分により、この章で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所(本店又は支店若しくは政令で定めるこれに準ずるものをいう。以下同じ。)を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。

e-GOV法令検索「建設業法

建設業許可が必要な業種については、土木一式工事や建築一式工事など、29種類があります。

これらの業種に該当し、かつ、500万円以上の工事を請け負ったにもかかわらず、無許可で建設業を営んだ場合は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が科される可能性があります(建設業法第47条)。

建設業許可を取得するために必要な5つの要件

建設業許可を取得するためには、次の5つの要件をクリアする必要があります。

  1. 経営業務の管理責任者を設置しているか
  2. 営業所ごとに管理責任者を設置しているか
  3. 誠実性を有しているか
  4. 財産的基礎の要件を満たしているか
  5. 欠格要件に該当しないか

それぞれ解説するため、参考にしてください。

経営業務の管理責任者を設置しているか

建設業許可を取得するには、経営業務の管理責任者を設置する必要があります(建設業法第7条第1号)。建設業の経営は他の産業の経営とは著しく異なった特徴を有し、適正な経営が期待されるためです。

経営業務の管理責任者とは、建設業の経営業務を適切に行える能力を持つ人材を指します。許可申請者が法人である場合には常勤の役員のなかから1人、個人である場合には本人または支配人のなかから1人、選ぶ必要があります。

経営業務の管理責任者になるには、次のいずれかの要件を満たす必要があります。

建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験がある

法人か個人であるかを問わず、建設業の経営業務の管理責任者としての経験がある場合は、管理責任者となれます。また、経験に関しては業種も関係ありません。どの業種であっても、管理責任者として経験があれば、管理責任者となれます。

建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務を管理した経験がある

法人か個人であるかを問わず、建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務を管理した経験がある場合は、管理責任者となれます。

ここでいう準ずる地位にある者とは、組合理事や建設会社の支店長・営業所長、商法・会社法上の支配人に次ぐ職制上の地位を持つ者です。具体的には、副所長や営業本部長、副支店長、事業主の配偶者・子どもなどが該当します。

建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験がある

法人か個人であるかを問わず、建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験がある場合は、管理責任者となれます。

準ずる地位にある者の定義の具体例については、上記と変わりません。

常勤役員等のうち一人が下記の(イ)または(ロ)のいずれかに該当する者であって、かつ、当該常勤役員等を直接に補佐する者として、下記の(ⅰ)(ⅱ)および(ⅲ)に該当する者を設置している

(イ)と(ロ)の要件については、次のとおりです。

(イ)建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有し、かつ、5年以上役員等または役員等に次ぐ職制上の地位にある者として経験を有する
(ロ)5年以上役員としての経験を有し、かつ、建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有する

たとえば、(ロ)の要件に合致する例については、IT企業の取締役として5年以上、建設会社の代表取締役として3年以上の経営経験がある人が挙げられます。

一方、(ⅰ)と(ⅱ)、(ⅲ)の要件については、次のとおりです。

(ⅰ)財務管理の業務経験について、常勤役員等を直接に補佐する者として、5年以上の経験がある
(ⅱ)労務管理の業務経験について、常勤役員等を直接に補佐する者として、5年以上の経験がある
(ⅲ)運営業務の業務経験について、常勤役員等を直接に補佐する者として、5年以上の経験がある

常勤役員を補佐する者については、財務管理と労務管理、運営業務についての経験を持つ者をそれぞれ置く必要があります。 ただし、一人ですべての業務を経験していれば、それぞれ別の者を置く必要はなく、一人で複数を兼ねることも可能です。

営業所ごとに専任技術者を設置しているか

建設業許可を取得するためには、営業所ごとに専任技術者を設置する必要があります(建設業法第7条第2号)。建設工事に関する請負契約の適正な締結、履行を確保するためには、申請者に建設工事についての専門的知識が求められるためです。

ここでいう専任技術者は、建設工事に必要となる専門的な実務経験・資格を有する技術者を指します。経営業務の管理責任者とは違い、法人役員・個人事業主である必要はありません。また、経営業務の管理責任者と専任技術者の兼務も可能です。

一般建設業の許可申請に際して専任技術者になるには、次のいずれかの要件を満たす必要があります。

指定学科修了者で高卒後5年以上もしくは大卒後3年以上の実務経験を有する

許可対象の建設業に関連する建設工事に関し、高校卒業5年以上若しくは大学卒業後3年以上の実務経験があり、在学中に許可を受けようとする建設業にかかる建設工事ごとに指定された学科を修めた場合は、専任技術者となることができます。

指定学科修了者で専門学校卒業後5年以上実務の経験があるか、専門学校卒業後3年以上実務の経験がある者で専門士もしくは高度専門士を称する

許可対象の建設業にかかる建設工事に関し、専門学校後5年以上の実務経験があり、在学中に許可を受けようとする建設業にかかる建設工事ごとに指定された学科を修めている場合は、専任技術者になることができます。

また、指定学科修了者で実務経験が3年以上であっても、専門士若しくは高度専門士を取得していれば、専門技術者になれます。

許可を受けようとする建設業にかかる建設工事に関して、10年以上の実務経験がある

国家資格を所有していない場合でも、許可を受けようとする業種に関して10年以上の実務経験がある場合は、専任技術者になれます。

たとえば、電気工事業の経験が10年以上あれば、電気工事業の専任技術者になることができます。

ただし、10年以上の実務経験がなくても、複数業種に関して一定以上の実務経験があれば専任技術者になることができます。

国家資格者

所定の国家資格を持つ人は、専任技術者になれます。専任技術者となれる国家資格の一例は次のとおりです。

業種専任技術者となれる国家資格
土木一式工事1級・2級建設機械施工技士、1級・2級土木施工管理技士、技術士(建設)など
建築一式工事1級・2級建築施工管理技士、1級・2級建築士
大工工事1級・2級建築施工管理技士(2級は躯体と仕上げ)、1級・2級建築士、木造建築士、技術検定(建築大工)
左官工事1級・2級建築施工管理技士(2級は仕上げ)、技術検定(左官)
とび・土木・コンクリート工事1級・2級建設機械技巧技士(2級は第1種〜第6種)、1級・2級土木施工管理技士(土木と薬液注入)、1級・2級建設施工管理技士(2級は躯体)、技術士(建設)、地すべり防止工事士など

このほかの業種については、国土交通省「建設業法における配置技術者となり得る国家資格等一覧」をご確認ください。

誠実性を有しているか

建設業許可を取得するためには、誠実性の要件をクリアする必要があります(建設業法第7条第3号)。

ここでいう誠実性の要件とは、申請者やその役員などが、建設業の請負業務を進めるにあたって不正または不誠実な行為をするおそれがないことが明らかであることです。不正または不誠実な行為とは、具体的に次のような行為です。

不正な行為不誠実な行為
請負契約の締結や業務履行の際に、詐欺や脅迫、横領など法律に違反する行為工事内容や工期、天災など不可抗力による損害の負担等について、請負契約に違反する行為

財産的基礎の要件を満たしているか

建設業許可を取得するためには、財産的基礎の要件を満たさなければなりません(建設業法第7条第4号)。財産的基礎の要件は、建設業者が工事を適切に実施するうえで最低ラインの経済的基盤をあるかを判断するための基準です。

財産的基礎の要件は一般建設業か、特定建設業かで異なります。

一般建設業特定建設業
・自己資本が500万円以上であること
・500万円以上の資金調達能力を有すること
・許可申請直前の過去5年間許可を受けて営業した実績を有すること
・欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
・流動比率が75%以上であること
・資本金の額が2,000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4,000万円以上であること

なお、特定建設業の財産的基礎の要件が一般建設業よりも加重されているのは、特定建設業者が多くの下請負人を使用して工事を施工することが一般的であったり、特に健全な経営が要請されたりするためです。また、発注者から請負代金の支払いを受けていない場合であっても下請負人には工事の目的物の引渡しの申し出がなされてから50日以内に下請代金を支払う義務が課されていることも、加重理由の一つとなっています。

欠格要件に該当していないか

建設業許可を取得するには、次のように定められた法定の欠格要件に該当していないことが求められます(建設業法第8条)。

  1. 破産者で復権を得ないもの
  2. 第29条第1項第7号又は第8号に該当することにより一般建設業の許可又は特定建設業の許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
  3. 第29条第1項第7号又は第8号に該当するとして一般建設業の許可又は特定建設業の許可の取消しの処分に係る行政手続法第15条の規定による通知があった日から当該処分があった日又は処分をしないことの決定があった日までの間に第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出をした者で当該届出の日から5年を経過しないもの
  4. 前号に規定する期間内に第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出があった場合において、前号の通知の日前60日以内に当該届出に係る法人の役員等若しくは政令で定める使用人であった者又は当該届出に係る個人の政令で定める使用人であった者で、当該届出の日から5年を経過しないもの
  5. 第28条第3項又は第5項の規定により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
  6. 許可を受けようとする建設業について第29条の4の規定により営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者
  7. 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  8. この法律、建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるもの若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定(同法第32条の3第7項及び第32条の11第1項の規定を除く。)に違反したことにより、又は刑法第204条、第206条、第208条、第208条の3、第222条若しくは第247条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  9. 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  10. 精神の機能の障害により建設業を適正に営むに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
  11. 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号又は次号(法人でその役員等のうちに[1]から[4]まで又は[6]から[10]までのいずれかに該当する者のあるものにかかる部分に限る)のいずれかに該当するもの
  12. 法人でその役員等又は政令で定める使用人のうちに、[1]から[4]まで又は[6]から[10]までのいずれかに該当する者([2]に該当する者についてはその者が第29条第1項の規定により許可を取り消される以前から、[3]又は[4]に該当する者についてはその者が第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、[6]に該当する者についてはその者が第29条の4の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該法人の役員等又は政令で定める使用人であった者を除く。)のあるもの
  13. 個人で政令で定める使用人のうちに、[1]から[4]まで又は[6]から[10]までのいずれかに該当する者([2]に該当する者についてはその者が第29条第1項の規定により許可を取り消される以前から、[3]又は[4]に該当する者についてはその者が第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、[6]に該当する者についてはその者が第29条の4の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該個人の政令で定める使用人であった者を除く。)のあるもの
  14. 暴力団員等がその事業活動を支配する者

なお、欠格要件に該当しない場合でも、許可申請書や添付書類の中に重要な事項について虚偽な記載があったり、重要な事実の記載が欠けている場合は、不許可となります。

個人事業主・一人会社でも建設業許可を取得することは可能!

個人事業主や一人会社であっても建設業を取得することができます。

個人事業主や一人会社の場合は事業主本人が経営業務の管理責任者だけでなく、専任技術者を兼任するケースが一般的です。そのため、多くの経験の整理が必要になり、確定申告書や工事の契約書など提出資料が増える傾向にあるため、注意が必要です。

松江市で建設業許可の申請をご希望の方は小村渉行政書士事務所にご相談ください

建設業許可を取得するには、経営業務の管理経験のほか、専任技術者の設置や財産的要件のクリアなど、複数の要件をクリアしていることを証明する必要があります。

証明には大きな労力を要しますが、建設業許可は、自社の技術力や安定した経営基盤を公的に証明し、元請発注者や金融機関からの信頼を得るうえで重要なステップとなります。事業規模の拡大を目指す方は、ぜひ取得を検討するとよいでしょう。