IT導入補助金とは?5つの申請枠や申請する際の流れを解説!

出典:TOPPAN株式会社「IT導入補助金2025

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者などを対象に、SaaSや組み込み型のソフトウェアなどを導入する際の経費を一部助成する制度です。生産性の向上や業務効率化に寄与する制度として注目を集めているものの、申請方法についてわからない方も少なくありません。

そこで、本記事では、IT導入補助金の概要や仕組みについて解説します。5つの申請枠や申請する際の流れについても解説するため、参考にしてください。

IT導入補助金とは?

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者の生産性拡大を目的に、業務効率化やデジタルトランスフォーメンションに向けたITルールの導入を支援する補助金です。経済産業省の下部組織である中小企業庁が事業主体であり、IT導入補助金支援事務局を通じて採択企業に交付されます。

IT導入補助金を活用すると、ITツールを導入するうえでの初期投資リスクが大幅に軽減できます。またIT導入補助金は、原則として返済が不要です。事業計画に基づいてITツールを導入し、導入後に導入実績を報告すれば、返済を求められません。

さらに、IT導入補助金は公募期間が1年間に複数あり、不採択通知を受けても同年度内であれば何度でも申請可能です。

IT導入補助金の仕組み

IT導入補助金の交付を受けるためには、中小企業や小規模事業者などの補助金申請者は、IT導入補助金事務局に登録された「IT導入支援事業者」とパートナーシップを組んで申請しなければなりません。

出典:TOPPAN株式会社「IT導入補助金制度概要

IT導入支援事業者は、生産性向上を目指す中小企業や小規模事業者などに対してITツールを導入し、補助事業を円滑に遂行するための支援を手掛ける事業者です。事務局・外部審査委員会による審査を通過した事業者が登録されているため、一定の信頼性が担保されています。

2025IT導入補助金の申請枠

2025年IT導入補助金では、次の5つの補助枠が設けられています。

  • 通常枠
  • インボイス枠(インボイス対応類型)
  • インボイス枠(電子取引類型)
  • セキュリティ対策推進枠
  • 複数社連携IT導入枠

ここからは、それぞれの補助枠について解説するため、参考にしてください。

通常枠

通常枠は、中小企業や小規模事業者が自社の課題やニーズに合ったITツールを導入するための経費の一部を補助することで、労働生産性の向上のサポートするものです。

次に挙げる業務プロセスのなかから1種類以上のソフトウェアを申請することが、申請条件です。ただし、汎用プロセスのみの導入で申請することができません。

業務プロセス(共通プロセス)
・顧客対応・販売支援
・決済・債権債務・資金回収管理
・供給・在庫・物流
・会計・財務・経営
・総務・人事・給与・教育訓練・法務・情シス・統合業務
・その他業種固有のプロセス
業務プロセス(業務特化型プロセス)
・汎用・自動化・分析ツール

補助率と補助額は次のとおりです。補助額は導入プロセス数に応じて増える仕組みとなっています。

補助率1/2以内 *
補助額1プロセス以上:5万円以上150万円未満
4プロセス以上:150万円以上450万円以下

*3カ月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員の30%以上であることを示した場合の補助率は、2/3以内

インボイス枠(インボイス対応類型)

インボイス枠(インボイス対応類型)は、インボイス制度に対応した「会計」「受発注」「決済」の機能を有するソフトウェアやパソコン、ハードウェアの導入費を助成する制度です。インボイス制度への対応を強力に推進することを目的としています。

補助率と補助額は次のとおりです。

会計・受発注・決済ソフト

補助率3/4以内、4/5以内*12/3以内
補助額50万円以下*250万円超〜350万円以下*3*4

パソコン・ハードウェアなど

補助対象パソコン・タブレットなどレジ・券売機など
補助率1/2以内1/2以内
補助額10万円以下20万円以下

*1:中小企業は3/4以内、小規模事業者は4/5以内

*2:「会計」・「受発注」・「決済」のうち1機能以上を有することが機能要件

*3:補助額50万円超の際の補助率は、補助額のうち50万円以下については3/4(小規模事業者は4/5)、50万円超については2/3

*4:「会計」・「受発注」・「決済」のうち2機能以上を有することが機能要件

インボイス枠(電子取引類型)

インボイス枠(電子取引類型)は、インボイス制度対応の受発注ソフトを導入し、当該取引関係における受注者である中小企業・小規模事業者などに対し、ITツールを供与する場合に、当該ITツールを導入するための経費を一部補助する制度です。中小企業・小規模事業者の生産性向上とインボイス制度への対応促進を目的としています。

補助率と補助額は次のとおりです。

補助率中小企業・小規模事業者等:2/3以内
その他事業者等*1:1/2以内
補助額(下限なし)〜350万円以下

*1:インボイス枠(電子取引類型)では、中小企業・小規模事業者などと受発注の取引をしている事業者が対象です。

セキュリティ対策推進枠

セキュリティ対策推進枠は、サイバーセキュリティ対策を強化するためのITツールを導入するための経費を一部助成する制度です。サイバーインシデントを原因として事業継続が困難となるなどの生産性向上を阻害するリスクを低減するとともに、供給制約やそれに起因する価格高騰といった潜在的リスクを低減することの目的としています。

補助率と補助額は次のとおりです。

補助率小規模事業者:2/3以内
中小企業:1/2以内
補助額5万円〜150万円

複数社連携IT導入枠

複数社連携IT導入枠は、サプライチェーンや複数の中小企業・小規模事業者などが連携してITツールを導入する取り組みに対し、「通常枠」よりも補助率の高い支援をする制度です。複数社へのITツールの導入を支援するとともに、効果的に連携するためのコーディネート費や外部専門家にかかる謝金を含めて支援することを目的としています。

具体的な補助対象者は、商工団体や商店街振興組合、商工会議所簿ほか、まちづくり会社や観光地域づくり法人(DMO)などです。複数の中小企業・小規模事業者などにより形成されるコンソーシアムも対象としています。

補助率は1/2以内から4/5以内で、補助額は基盤導入経費と消費動向等分析経費が3,000万円以下、その他経費が200万円以下です。補助額はグループ構成員の数に応じて増える仕組みとなっています。たとえば、基盤導入経費としてのソフトウェアに対しては補助率が3/4以内、補助額が「50万円以下×グループ構成員数」です。

IT導入補助金を申請する際の流れ

IT導入補助金を申請する際の流れは次のとおりです。

  1. 本事業を理解する
  2. GビズIDの取得・SECURITY ACTION宣言実施
  3. IT事業者・ITツールの選定
  4. 交付申請
  5. 交付決定
  6. ITツールの発注・契約・支払い
  7. 事業実績報告・補助金交付
  8. 事業実施効果報告

ここからは、それぞれのステップについて解説するため、参考にしてください。

募集要項や事業の趣旨を理解する

まずは公式サイトで公開されている交付規定や公募要領をチェックし、IT導入補助金の申請要件を満たしているかを確認しましょう。

交付規定や公募要領は、IT導入補助金の資料ダウンロードで公開されています。

GビズIDの取得・SECURITY ACTION宣言実施

交付申請の要件には、GビズIDプライム(ID・パスワードなど)が必要です。GビズIDプライムを持っていない場合は、「GビズID」のホームページから取得しましょう。

また、申請者はGビズIDプライムの取得に加えて、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」を宣言しなければなりません。この宣言は、IPAの「SECURITY ACTION」ページから登録できます。

IT事業者・ITツールの選定

補助金を交付申請する準備として、まずは自社の業種や事業規模、経営課題に沿って、IT導入支援事業者と導入したいITツールを剪定しましょう。

交付申請

IT導入支援事業者との間で商談を進め、交付申請の事業計画を策定した後は、交付申請を行います。交付申請の流れは次のとおりです。

  1. IT導入支援事業者から「申請マイページ」の招待を受け、代表者指名などの申請者基本情報を入力する
  2. 交付申請に必要となる情報入力・書類添付をする
  3. IT導入支援事業者で、導入するITツール情報や事業計画値を入力する
  4. 「申請マイページ」上で入力内容の最終確認した後、申請に対する宣言を実施し事務局へ提出する

交付決定

交付申請内容の審査が完了すると、事務局から交付決定通知が送られてきます。通知を受けた申請者は補助事業者となり、補助事業を開始可能です。

ITツールの発注・契約・支払い

交付決定通知を受けた後は、ITツールを発注し、契約や支払いを実施します。この時点で、補助金は付与されないため、補助対象の経費分を合わせて先払いが必要です。

交付決定前にITツールの発注・契約・支払いを実施した場合には、補助金を受けられなくため、ご注意ください。

事業実績報告・補助金交付

補助事業を完了した後は、「申請マイページ」で、ITツールを導入したことがわかる書類を添付して事業実績報告を行います。事業実績報告が作成されると、IT導入支援事業者が内容を確認し追加情報を入力したうえで、事務局に提出してくれます。

事務局が事業実績報告を承認した後、補助金が交付されます。

なお、補助事業が適正に進められていなかったり、期間中に報告しなかたりした場合は、補助金を受けられないため、ご注意ください。

事業実施効果報告

補助金交付後は、「申請マイページ」で、ITツールの導入効果を報告する「事業実施効果報告」を作成します。事業実施効果報告した後、IT導入支援事業者が追加情報を入力したうえで、事務局に提出してくれます。

島根県でIT導入補助金の活用を検討されている方は行政書士にご相談ください

IT導入補助金は、ITツールを活用した業務効率化や売上向上を目指す中小企業や小規模企業などを支援する制度です。うまく活用すれば、企業のDX推進を推し進めてくれるでしょう。

小村渉行政書士事務所では、IT導入補助金の申請代行サービスを提供しています。島根県で、IT導入補助金の活用を検討されている方は、当事務所にご相談ください。

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